株式会社ビッグウィル

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折り鶴が折れる本物の木

ビッグウィルの近藤です。ビッグウィルは設立して11年の会社ですが、100年後の未来の為に木材利用の再発見が必要であると考え、天然木を0.1mmまで木を薄くしまるで紙のように扱える天然木極薄シートを開発し、特許が認められて世界に一つしかない商品開発に成功しました。現在大きく分けると2つ分かれています。1つは、住宅向けに使われる壁紙として使って頂く壁紙シートとして。もう1つは、シートを活用した「樹の紙ブランド」によるグッズ開発としてです。

皆さん木で名刺を作っている人とかに出会ったことありますか?よく他社でも木を薄くして名刺にしたりするものはあるのですが、あの名刺は大半が折り曲げることが出来ずに、あまりにも強度をかけると割れてしまいます。しかし、当社の樹の紙は先ほどの特許を使用して薄くスライスした天然木の裏に特殊な紙を貼り付けていることで折り曲がる木を実現しているのです。なので、この「樹の紙」は折り鶴だって折ることが出来るんですよ。

この地域をなんとかしたい!という想い

今、全国の地方は疲弊を続けています。限界集落という言葉はもう陳腐化してしまい崩壊集落に向かっていると僕は思うのですね。その崩壊集落に向かっているのは東みよし町も例外ではありません。こう言った厳しい状況の中でも「この町をなんとかしていきたい」という視点に立った時に考えたのは「この町の良さを活かして商品を企画販売することだ!」と言うことでした。東みよし町にも、畑と山は沢山ある。この畑と山をなんとか活用して新しい「モノ」を作ることができないだろうか。それが全てのきっかけでした。

実際に山村には耕作放棄地を初めとした荒れ果てた土地があります。この土地を整備するためには、間伐作業が必要不可欠です。間伐作業をすれば木が出てくる。この木を何か使えないだろうか。そして「木」に着目し日夜製品開発を行い誕生したのが、この天然木極薄シートということです。

利用価値がないモノに敢えて着目する

今までの木と言えば大半が建築用途でした。しかし、木というのは目がありますよね。また太かったり細かったり枝の部分もあったりします。天然木である以上、使い勝手が悪い部分が存在することは当たり前で、そういう部分の大半は建築用途としては不向きなものが多くありました。今までの木材産業においては使用価値が全くないと思われていた部分があったのです。

そこで私は考えました「この今まで使用できなかった部分を何かに使うことは出来ないだろうか」と。木という素材でなく新しい「モノ」として何かを生み出せば商品として売れるようになり、1000円でしか売れなかった「モノ」に新しい息吹を吹き込むことで10000円の商品価値を生む。

そういうことの努力の繰り返しが地域を元気にしていく。と、私は確信しました。

その想いが生み出した結晶が天然木の極薄シートであり、その根幹にある特許技術です。一見、利用価値のないと思われるものも角度を変えて、そこにものづくりを加えることで新しい価値を生み出す。これが山村に新しい価値を生み出し地域を元気にする、そう信じています。

いざ樹の紙を販売、しかし!

しかし、製品が完成したとしても最初のうちは全く簡単ではありませんでした。

10年前の11月。私は展示会にいました。大阪と東京の展示会に完成した製品を出してみました。

ものすごく話題となっていたこともあり名刺交換だけで800名近く交換したのです。その時は「これはいける!注文は間違いなしだ!」と思いましたが、待てど暮らせど注文はありませんでした。結局、いいんだけどねという形で終わってしまい、そこからがスタートです。「なぜ、これは売れないんだ」と自分自身に自問自答しながら、時には色々な人から教えを請う形で、様々に研究を進めました。不燃材としての認証は天然木であるが故に非常に難易度が高く苦労しましたが「必ず実現してみせる」という気持ちで乗り越えてきたものです。その不燃材の認証も取れるという過程で段々と、どの様に売っていけば良いかということも見えるようになり、そこからは少しずつ目に見える形での成果が見えてきました。

自分は負けない戦いが出来ている

思い出すと1m四方の箱に商売道具を入れて四国から全国あらゆる所を回ったなと思いますね。しかも車で。その頃は高速道路が1000円の時代だったのでガソリン代だけ払えば遠くのどこまでも行くことが出来たので足で回るという泥臭い営業をやりました。ある大手のメーカーさんからは「こんな色々な荷物を持って東京のここにきたのは近藤さんの所が始めてたよ」と言われたこともありました。あれは忘れもしないです。別のあるメーカーの社長が当社のシートを15分くらい無言でずっと眺めていた。そして、そのメーカーのカタログを出して一言こう言ったのです「ここにこの商品の項目を作りましょう」と。その時に私は言っていることは必ず実になる、私が愛する東みよし町という郷里は、負けない戦いをしていけると確信し心に言いえることができない感情が生まれました。同時に「自分がやらねば誰が東みよし町を元気にするんだ!」という熱い気持ちも沸々と湧きあがってきました。

地方を中心とした企業人を東みよし町で

私はビジネスの最前線を見る中で感じていることがあります。それは、産めよ増やせよという時代を改めて確認する必要が出てきたのだろうということです。それは新しい考え方の一つとして「地方を中心とした企業人」という考え方と繋がる部分があるかもしれませんね。今、地元に根付き都会へ出ていかない若者が増えているというデータがあります。しかし実際には出ていってしまう。それはなぜか。地域を中心に考えて、若者が憧れるような企業、そういういった文化を地域に根差していくことが大切ではないだろうかと私は考えています。当社では、それを「技術」というキーワードで、地域に根差した地域の核になっていけたらと考えています。当社だけでなく、東みよし町全体としても、この考え方に賛同して応援してくれる人が増えつつあります。規模の大小は関係ありません。文化を一緒に創って行けるような人と一緒に東みよし町の未来を考えていきたいですね。