横関食糧工業株式会社

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パン粉は本当にパンを作るところから始まる

横関食糧工業の横関です。横関食糧工業では、雑穀粉の製造加工、冷凍食品製造、冷凍食品向け生パン粉およびドライパン粉の製造などを行っている会社です。この三好工場では、主にパン粉を作っているんですよ。パン粉は文字通り、パンを砕いて作ったものなのでパン粉なので当社はほとんどパン屋さんと同じ仕事をしている所も多くて、毎日食パンを焼き上げる!というところから仕事が始まります。ただし、普通の皆さんがイメージするパン屋さんと違うところはとっても大量にパンを焼き上げるということですね。大体、当社では1日に平均で10~11トン、最大で17トンくらいのパン粉の生産能力を有しています。

逆に言えば、それだけのパンを毎日焼き上げているということなんですね。また、現状に甘んじることなく新たな活用方法を模索するために様々な試作品の開発にもトライしています。

阿波の語源と私たちのルーツ

当社は私で3代目です。元々は東みよし町出身者の祖父ですが、たかきび、こきびなどの雑穀を粉にして販売するという事業を徳島市内で始めたことがスタートです。40年前に香川県の会社にパン粉を作ってくれないかという相談を持ち掛けられたことがきっかけで香川の近くに工場の建設をしようというプロジェクトがスタートします。東みよし町は香川へのアクセスも良く、徳島へのアクセスも良かったこと。祖父は東みよし町への想いを強く持っていたこと。様々な要因が重なり、祖父の地元である東みよし町で工場を作ろうという話が盛り上がり三好工場を建設することになりました。

徳島は「阿波踊り」で有名ですが、あの「阿波」という名前は、元々徳島が粟の生産地だったことから「粟(あわ)の国」と呼ばれていたことにも由来しています。この粟とはまさに雑穀のこと。例えば平家の落人伝説の残る祖谷では、そばの花。これを使った「そば米ぞうすい」は徳島全域で郷土料理として親しまれていますが、元々は徳島県西部地域で盛んだったものです。祖父が雑穀類から始まった仕事が今こうして三好工場でパン粉の製造や販売に繋がっていると考えると感銘深いものがありますよね。

パン粉の新しいアイディア

当工場が主力としているパン粉ですが、これは主に冷凍食品のパン粉として使われています。実際のユーザーさんは地元ではありません。

あと大阪や東京にも一切出荷していないですね。四国から出てアプローチしていこうとなると、今のビジネスモデルでは生パン粉を運ぶために冷蔵車をチャーターする必要があり費用を回収できる見込みがないのと、仕入れと配送のコストの問題もあります。

この辺りは新しいアイディアを考える必要があるのかもしれないなと思っています。そのため、実は実際のお客さんは主に香川県です。東みよし町で製造しているのに山を超えた向こう側にパン粉を運んでいるのが現状で少しだけ悲しいなと思っている気持ちもありますね。

冷凍食品の売上自体は伸びているのですが、昨今の健康志向もあってパン粉も使ったフライ商品系というのは年々減少傾向になっているのが実際です。

パンを作ること、パン粉を作ること

新たな活用方法を模索するために様々な試作品の開発にトライしているとお話しましたが、その模索の試作開発は経営陣が中心となり行っています。そもそも「こんなこと出来るだろうか」というニーズや可能性を意見交換するだけでも、とても有意義なものだと感じています。ただ、やはり当工場のメインはパン粉ですので、日々パン粉のことを考える時間が多いのは事実です。そしてパン粉と言うのは個人的には脇役だと思っているんですね。その脇役が引き立て役として存在価値を保っていくには、どうしたら良いのだろうか。そのことを最近はいつも考えています。例えば、パン焼きの工程には、ちょっとした特色があるんです。

実は、こう言ったパン粉工場でパンを焼く場合には焼き方が2通りあること知っていましたか?当工場では電極式という方法を使ってパンを焼いています。アルミ鉄板のステッパーを使ってパンを焼くのですが、耳が焼けていない真っ白なパンが出来上がるんですよ。

なので、パンの耳まで全てパン粉にすることが出来るのです。ただし、アルミ鉄板からパンを剥がすときにパンがべっとりと残ってしまうことが難点で、その量は月間で100~200キロくらいになるでしょうか。これは現状では普通のおいしいパンなのですが、手間を考えて飼料として出しています。ちょっと、勿体ないなあと思いつつ有効活用を模索しているのですが何かヒントを得られたりしたら良いなと思っています。

食品業界の新しい切り口を見つけたい

今、食品業界は今まで以上に知恵を絞っていかなければならない部分が大きくあると感じていますね。例えば、業界全体としてシビアな部分として製造過程において異物混入をしないことはもちろんですが、現実問題として納入先より異物混入や単価だけでの部分だけで比較されてしまう部分があります。先ほどパン粉は脇役であるという様にお話させて頂きましたが、どういった付加価値があるのか、ひいては自分たちの付加価値がなんであるのかを真剣に考えなければならない時期なのだと痛感をしています。ちょっと一例をお話しますと新しい活路として実はとんかつ屋さんからお話を頂くことはあるのですが、とんかつ屋さんは10~20kg単位で対応してほしいというオーダーがほとんどであるケースも多く、小売り対応のニーズに現状応えていく為のアイディアを考えていかなければならないという悩みを抱えています。しかし解決の糸口を諦めているわけではありません。新しいアイディアなどを意見交換していき活路を見出していきたいと考えています。そして、当社のルーツは、たかきび・こきびなどの雑穀類です。この雑穀類は徳島県のルーツでもあるものです。非常に大切にしていきたいと考えています。ちょっと昔までは、たかきび・こきびは徳島県西部では生産者が居ましたが。今は、生産者が少なくなってしまいました。例えば、農業に興味はあるんだけどいきなりは、と言う方に、午前中は当工場で働いてもらって、午後は農作業に従事したかきび・こきびを作ってみるとか。柔軟性の高い働き方を提供するとか。そう言ったことも考えていきたいですね。