賛同者インタビューvol.2【岸 章公 様】

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本プロジェクトは、徳島県東みよし町における地方創生の一環として取り組んでおります。こちらのインタビューは、プロジェクトへ賛同いただいた、東みよし町並びに徳島県にゆかりのあり、現在は都市部でご活躍されている方を対象に実施してまいります。

第二弾は、徳島市のご出身で兵庫県神戸市にて「きしから」という唐揚げ店を創業。からあげグランプリ金賞を4年連続で受賞されるとともに、現在は5店舗にまで店舗拡大をされている株式会社S&C Factory代表取締役の岸 章公様にお話を伺いました

 

 

-生まれ育った徳島県での思い出や幼少期をどのように過ごされてきたかをお聞かせください。

 

生まれは徳島市内です。両親も飲食店を営んでおり、共働きの家庭で育ちました。

私自身は幼少期からラグビーに夢中になっており、運動好きな子供でした。

両親ともに仕事をしていたため、近所の個人経営のお弁当屋さんで弁当を買って自宅で食べることも多かったのですが、その時から好んでよく食べていたのはやはり「唐揚げ」弁当でした(笑)

私が唐揚げ好きなのはその頃からでしたね!

 

-現在のお仕事とそこに至るまでの経緯について教えてください。

高校卒業のタイミングで大学進学のため神戸に来て下宿をはじめ、大学を卒業後もそのまま神戸で仕事や生活をしてきました。

 

私が就職活動をする時期はまさに「就職氷河期」と言われる時でした。学生の時に大手アパレルショップでのアルバイトをしていましたが、そのままそこで正社員として就職というわけにはいかず、卒業後も居酒屋とのかけもちをしながら、ほぼ休みもなく働いていました。

 

もともと興味があったのはアパレル業界の方でした。

ですが、就職氷河期ということもあって正社員としての就職が難しく、やむを得ずとは言え、飲食業界と二足の草鞋で働くことになりましたが、そのおかげでまた私自身の価値観も変わってきました。

私としては、自分が作ったもので、お客様から直接感想を聞かせてもらったり、お店やお客様同士でのコミュニティが作られたりする飲食店での仕事に、「濃さ」や距離感の近さを魅力として感じるようになり、飲食業界での起業ということを志すようになりました。

 

もう10年以上も前になりますが、最初は居酒屋での独立開業をしました。ですが最初の独立は成功とは言えずなかなかに厳しかったですね(笑)

 

色々と試行錯誤をする中、やはり私自身、唐揚げが大好きだったことと、また当時は共働きの世帯もどんどん増えてきていた頃だったため、「中食(なかしょく)」(※注:家庭外で調理された食品を、購入して持ち帰るあるいは配達等によって、家庭内で食べる食事の形態)がこれからの時代に求められているのではと考え、まだその頃にはほとんど見られませんでしたが、持ち帰りがメインの唐揚げ店という業態の構想が生まれて今の「きしから」が始まりました。

 

 

-今では地域で大人気の「きしから」ですが、レシピへのこだわりや工夫を教えていただけますか?

 

特に漬けダレにこだわりを持って作っています。フルーツなどをふんだんに使った漬けダレで30時間ほど熟成させるので、一般的なレシピの唐揚げよりもかなり時間をかけて作っています。また唐揚げの衣も漬けダレを全て絡めるので、衣にも味がしっかり入っています。

「きしから」の唐揚げはフルーティーで甘みが強いとよく言われますが、その味付けの根底にはやはり、幼少期を過ごした徳島での影響が強く出ているように感じています。徳島は全体的に料理の味付けは甘め仕上げることが多いですし、冒頭にお話しした、子供の頃に私がよく食べていたお弁当屋さんの唐揚げの優しい味付けを追い求めていたのかもしれません。

 

今は神戸で私が唐揚げ屋さんをしていますが将来は、私のように唐揚げの好きな子供や、ご両親が共働きで「中食」を摂ることが多い子供たちが大きくなったときに、私にとっての故郷のお弁当屋さんの唐揚げのような「故郷や幼少期を思い出してもらえるような味」となるような食べやすく優しい味わいの唐揚げ作りをいつも目指しています。

 

 

-どんどん店舗数も拡大されていますが、相当な苦労もあったのでは?

 

もちろん沢山ありました。

大の唐揚げ好きの私が唐揚げのレシピ開発をしようとしても、結局は「何を食べても美味しい」と感じてしまうんですよね(笑)

味の研究のために、世の中にある唐揚げを色々と食べてきましたが、その結果「唐揚げはみんな美味しい!」というのが私の率直な感想です(笑)

 

ですが、だからこそ他の唐揚げとの差別化ということを大切に考えています。

「きしから」では、お子さんにも喜んで食べていただけるお酒よりもお米に合うようなフルーティーな優しい味の唐揚げを目指していますが、どういったものが求められているのかというマーケティングには特に力を入れています。

お客様からいただく意見を大切にし、シーンやニーズと合わせるようなメニュー作りや店づくりを工夫して、当店の唐揚げを「選んでいただける」ように日々売り方などは考え続けています。

 

そういったことを継続して工夫していくにつれてお客様も増えてきたことを実感していますし、求められることは時代に応じて変わっていくものなので、これからも常に追い続けていきたいと思っています。

 

 

-今後の展望を教えてください。

 

とにかく、ファミリーや子供さんに喜んでもらえる唐揚げづくりを追求していきたいと思っています。

そして店舗も全国に拡大させていきたいですね。

ですが、やみくもに店舗数を増やすことを目指すのではなく、地域の方にとって必要としていただける場所に出店して、私たちの唐揚げを地域に根付く「文化」にしていきたいと思っています。

「今日のご飯はきしからでええやん」と気軽に言っていただけるぐらい、日常に溶け込む身近な商品やお店で在り続けたいと思っています。

 

 

-今は神戸エリアを中心としておられますが、将来は故郷である徳島県内にも出店などは考えておられるのでしょうか?

 

地域の皆様に必要としていただけるなら是非考えていきたいと思っています。

どの地域に出店するかについては、儲け話ありきではなく、地域全体が継続して良くなっていくようなことを分かち合えるような、同じ志の人が集まるコミュニティがそこにあれば出店する側からとしても魅力的に思えるのではないでしょうか。

 

1998年に明石海峡大橋が完成してから、四国と関西のアクセスが容易になり、ちょっとした買い物なんかでも徳島から神戸や大阪にたくさんの人が行くようになりました。

明石海峡大橋ができる前は、徳島から関西に行くことは今ほど手軽なことではなかったこともあり、私が子供の頃は地元の商店街や市場で買い物することが今よりも多かったように思います。

私自身も関西に出て行った立場ではありますが、久々に徳島に帰ってみると、街に昔のような活気がなくなっていることを感じてしまい寂しく思うこともあります。

地元の友人からも「こっちで何かしてほしい」と言われることがありますが、どういったものが求められているのかなどの最新の情報も得られておらず、まだ何もできていないというのが現状です。

 

ですので、地域にも求められるような意味を持った出店ビジョンを描けるのであれば、情報は集めながら将来の故郷への出店や活動にも積極的に取り組んでいきたいですね。

 

 

-徳島県在住(および東みよし町)の経営者の皆さま、ものづくりに携わる皆さまにメッセージをお願いします。

 

徳島は空気や水も美味しいし、そこで生まれ育ってきた私も地域としての良さは重々知っているつもりです。

今徳島でものづくりや商売でご活躍されている皆さんには、新しい視点を持ってご自身の商品やサービスを表現していただき、良いものを良いものとして長く残してもらいたいなと思います。

将来、徳島にも「きしから」が出店することができ、地域の皆様に受け入れていただけるなら、ぜひ一緒に新しいものや価値を作っていきたいと思っています。